DSS 自治体向けアプリマーケット Digital Service Square

自治体のニーズに応える多くのアプリやサービスを掲載

自治体コミュニティの運営(DSS座談会#4 イベントレポート)

DSS座談会#4 自治体職員コミュニティの運営

日時:2021年3月1日(月)19:00-20:30
開催方法:オンライン(zoom)

<登壇者>

深谷市 企画財政部 ICT推進室 主査
齋藤 理栄(さいとう・りえ)さん

  • 情報部門9年目。市役所新庁舎ネットワークシステムの設計及び構築を行う際、ICT環境の向上を目指してビジネスチャットを導入。
  • 自治体向けビジネスチャット「LoGoチャット」を、自組織内だけでなく、同じサービスを利用する他自治体職員とのリアルタイムな意見交換の場として活用。
  • 自治体を超えて繋がる場所である「LoGoチャットユーザーグループ」のファウンダー/コアメンバー。導入自治体数は全自治体の3分の1程度に当たる549自治体(2020年10月末時点)

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)
インターネットトラストセンター兼セキュリティマネジメント推進室 主査
髙倉 万記子(たかくら・まきこ)さん

  • デジタルトラストやインターネットなりすまし対策の普及啓発などを行っている。
  • 2000年に愛媛県の八幡浜市役所入庁。市民課を経て、基幹系システムの保守運用開発部門に異動。2013年に、愛媛県後期高齢者医療広域連合へシステム担当として派遣され、マイナンバー制度等の導入作業を行う。 総務省自治大学校の情報システム領域における育成研修において、パネルディスカッションのコーディネーターを務めるなど、自治体職員に対してマイナンバーやSNS活用の講師等を行っている。
  • Facebookのプライベートグループである「【職員限定】社会保障・税番号制度(マイナンバー)対応(自治体向け)」と「ICT《公共関係者限定》」、それぞれ700名以上の自治体職員が集まるコミュニティを運営。

特許庁 審査業務部 商標審査官補
岩葉 瑞季(いわば・みずき)さん

  • 1997年生まれ。宮城県出身。
  • 地域や職場を超えて、他の自治体の方と同じ課題を共有・相談したり、積み重ねてきたノウハウを引き継いだりできるオンラインプラットフォーム「オンライン市役所」を運営。1,800人以上の全国の公務員が参加(2021年1月29日現在)。

塩尻市 企画政策部 地方創生推進課 地方創生推進係長(シティプロモーション担当)
山田 崇(やまだ・たかし)さん

  • 1975年塩尻市生まれ。千葉大学工学部応用化学科卒業。空き家プロジェクトnanoda代表。内閣府 地域活性化伝道師。信州大学 キャリア教育・サポートセンター 特任講師(教育・産学官地域連携)。
  • 日本一おかしな公務員 /著者(2019年6月27日販売 日本経済新聞出版社)
  • オンラインコミュニティ「市役所をハックする!」のファウンダー/コアメンバー。

    (4月1日からは、塩尻市役所 官民連携推進課 課長補佐(兼)官民連携推進係長、信州大学 キャリア教育・サポートセンター 特任准教授(教育・産学官地域連携))

進行役:インフォ・ラウンジ株式会社
下山 紗代子(しもやま・さよこ)さん

(以下、敬称略)

<DSS(Digital Service Square)の紹介>

  • 下山:DSS(Digital Service Square)事務局の下山です。最初に簡単にDSSをご紹介します。

    DSSは、自治体職員のIT調達の助けとなるサービスです。まだ使ったことがないという方は、ぜひ、一度、使っていただいて、感想や要望をいただけると嬉しいです。

    DSSの目的は、自治体職員のIT調達をもっとスムーズに、便利にしたいということと、アプリ開発者やサービス提供者に、自治体のDXビジネスへの参加機会を増やしたい、特に中小企業やベンチャーなど小さい規模の方々のビジネスチャンスを増やしたいという2点です。2019年度の経済産業省の調査業務の一環として、株式会社三菱総合研究所と、私が所属するインフォ・ラウンジ株式会社で作ったサービスです。今年度から、インフォ・ラウンジで本格運用を開始しました。

    本日は、自治体職員の方々もたくさん参加されていますが、IT調達では、結構お困りの方も多いと思います。地域によっては、ベンダーの営業がなかなか来ない、IT関連の情報が入ってこないといった声をよく聞きます。そういうときに、ITサービスや関連情報がまとまっているサイトがあれば、どのようなITサービスがあるかを探したり、すぐに問い合わせや資料請求したりできると便利ではないでしょうか。DSSを見ていただくと、今だとコロナ対策関連のITサービスや、業務効率化やコミュニケーションのためのツールなど、様々なサービスが登録されています。検索をしていただくと、ピッタリのものが見つかるのではないかと思います。レビューも付けられるようになっています。自治体ユーザーとして登録していただくと、見積依頼や資料請求もできます。各サービスの自治体での導入実績もわかります。

    自治体職員同士で相談や議論ができる場も作っていきたいと思っています。トピックを立てて、それについてどんどんコメントを書いたり、相談をしたりできます。自治体職員としてログインしないと見られないので、安心して意見交換ができます。
    調達のときに大変なのが、仕様書や契約書の作成だと思うのですが、このような文書を共有できる仕組みも用意しています。テンプレートがあってすぐに書ける場合もあるのですが、技術の進化が早いので、テンプレートもどんどん古くなっていくと思うんですね。そういったときに、このツールを契約するときの最新の契約書と仕様書などを、自治体職員同士で共有できれば、仕事の効率化や、質の担保につながります。自治体職員ユーザーとして登録をしないと見られない機能です。自治体職員の方は、すぐにご登録ください。

    アプリ開発者やサービス提供者の方々向けの機能としては、販路を拡大するために、いろいろな自治体から問合せや資料請求を受けたり、これまでの導入実績をアピールできたりします。登録されているサービスから、他社のサービスを調査したり、業界動向を把握したりすることも可能です。

    自治体職員、開発者・サービス提供者、いずれもユーザー登録は無料です。画面右上にある「ログイン/サインアップ」のボタンから、自治体職員か、開発者・サービス提供者のどちらかを選んでいただき、登録していただきます。自治体職員の方は、自治体ドメインのメールアドレスかどうかで判断しますので、ご所属のメールアドレスでご登録をいただく必要があります。こちらで拾いきれていない自治体ドメインも最近増えていますので、ご登録できない場合は、個別にメールでご相談ください。

    このDSSはインフォ・ラウンジが運用していきますが、今後の展望としては、各分野の専門家にアドバイザーとしてご参加いただき、自治体職員の方の相談にのっていただいたり、有用な情報を提供していただいたりできるような機能の拡充も考えています。自治体職員の方々のIT調達の助けとなるDSS(Digital Service Square)に、ぜひご登録ください。

    このDSS座談会は、本日が4回目となります。毎回テーマを決めて座談会を行っています。今後、こんなテーマの話が聞きたいといったご要望があれば、ぜひお寄せいただければと思います。

<ゲストの活動紹介>

  • 下山:本日のテーマは「自治体コミュニティの運営」です。最初に、登壇される方々をご紹介いたします。
    まずは、深谷市企画財政部ICT推進室主査の齋藤理栄さんから、関わっているコミュニティ活動についてご紹介いただきます。

  • 齋藤:今回は、あくまでも個人で参加しており、所属する団体の意見ではないということを最初にお断りさせていただきます。
    私は埼玉県深谷市の企画財政部ICT推進室の齋藤と申します。IT部門で9年ぐらいお仕事をさせていただいてます。私自身、工業系の短期大学を卒業してます。卒業してすぐ、病気療養しなければいけない時期が約2年間ありました。このときに、初めて自宅にパソコンが来まして、そのパソコンとチャットに心を救われるというか、病気療養で家から出られなくて、世の中との繋がりが全くなくなってしまった時期に、外に出なくても外の人と繋がれるものとして、その時はビジネスチャットではなく普通に趣味として、毎日のようにチャットをやっていました。その後、フリーターをしたり、バイク屋さんに勤めたりしました。ただバイク業界では将来が見えないなと思っていたとき、たまたま地元の市役所で採用試験があって、採用されて、それから公務員をやっています。


    昔からチャットを個人で楽しんでいたので、チャット自体の良さはすごくわかっていて、これが自分の仕事場でも使えたらいいなと思っていました。そんなときに2019年ごろにビジネスチャットとめぐり合い、これを使って多くのユーザーさんと繋がることができました。自分の団体の中だけではなく、他の団体の方と一緒になって、業務や課題を考えたり、話し合ったりしながら、毎日仕事をしています。
    深谷市が使っているビジネスチャットは「LoGoチャット」というサービスで、国内初のクラウド型の自治体専用チャットとして売り出されたものです。今では、LGWANで使えるチャットは他にもあるので、唯一というわけではないですが、当時はこれが初めてでした。LoGoチャットが出たときプレスリリースしましたので、深谷市の職員が写ったチラシを見たことがある自治体の方もいるのではないかと思います。このような感じで、楽しく仕事をしています。
  • 下山:齋藤さんありがとうございます。あの記事はすごく印象に残ってました。チャットツールを使ったコミュニケーション、そしてそこからまたコミュニティが広がっていくことが大変興味深いですね。
    続きまして、JIPDECの髙倉さん、お願いいたします。

  • 髙倉:一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の髙倉です。JIPDECの前は、愛媛県八幡浜市で、市民課年金係に3年、総務課電算係に10年在籍した後、後期高齢者医療広域連合に4年いました。人口約3万4000人の八幡浜市の職員数は311人、後期高齢者医療広域連合は26人、JIPDECは約100人です。詳しくはこちらの本(髙倉万記子著『四国の自治体職員がICTで暴れてたら東京へ転職していました』)で紹介していますので、読んでいただけたらと思います。


    JIPDECは、プライバシーマーク制度の運用や、ISMSの普及啓発活動などを行っている団体です。私はJIPDECのインターネットトラストセンターで、行政の電子化や様々なトラストサービスの普及啓発活動などを行っています。また、セキュリティマネジメント推進室で、メールのなりすまし対策なども担当しています。政府のデジタルガバメント閣僚会議の下のデータ戦略タスクフォースが作成した、データ戦略の第一次取りまとめ案に、トラストの枠組み整備が盛り込まれましたが、このトラストの枠組み作りや関連サービスなどに関わる仕事をしています。また、なりすましメール対策は、2020年末に改訂版が出た、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインにも盛り込まれた、DKIM(Domainkeys Identified Mail)やDMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)に関わる仕事をしています。

    私が今、参加している行政職員のオンラインコミュニティは、Facebookのグループ機能を使った「ICT」というグループで、国や自治体で情報政策や情報システムを担当している職員や経験者に参加いただいて、先進事例、トラブル、Q&A、補助金など、デジタルに関するあらゆる情報交換を行っています。最近の関連ニュースを集めて投稿してくれてる人がいたり、とある市のCIO補佐官をやっている方がデータベースに関する話を投稿してくれて、それに対するコメントを付けてもらったりしてます。マイナンバーのグループもあり、こちらではマイナンバーに関する情報交換をしています。詳しくは私までお気軽にご連絡ください。
  • 下山:髙倉さん、ありがとうございました。かなり大規模なグループなんですね。参加者数は、ICTが約750人、マイナンバーが約1,300人なんですね。
    では続きまして、オンライン市役所を担当している岩葉瑞季さんに自己紹介をお願いします。

  • 岩葉:私は国家公務員一般職の行政区分で入りました。今1年目です。特許庁の審査業務部というところで、商標審査の仕事をしています。商標というのは、商品やサービスについている名前やロゴのことですが、特許庁に出願された商標を登録するか否かの判断を日々しています。


    その業務の傍ら、「オンライン市役所」の運営をしています。オンライン市役所というのは、地域や職場を超えて、他の自治体の方と、課題やノウハウを共有するオンラインプラットフォームです。オンライン市役所という名前ではありますが、国家公務員でも参加することができます。現役の公務員であればどなたでも参加可能ですので、例えば保健師の方、教員の方、消防の方など、本当に幅広い公務員の方に参加いただいています。

    オンライン市役所は、「誰もが「先生」、誰もが「生徒」」をモットーに公務員で運営しています。オンライン市役所が立ち上がるきっかけにもなったのですが、公務員につきものなのが人事異動です。だいたい3年くらいで異動があり、異動前とは全く違う仕事につくこともあります。そんなとき、今まで自分が長く経験してきたことについては他の人にノウハウを提供したり、逆に自分が異動したばかりでよく分からないときは、オンライン市役所にいる皆さんから教えてもらったり、そういった学び合いができればいいなと思っています。

    オンライン市役所に参加されている方は、北は北海道から南は沖縄まで、離島の方もいらっしゃいます。本当に日本全国から参加いただいているコミュニティです。行政組織では「課」があると思いますが、オンライン市役所でも、共通の関心や課題感を持つ方で課を作っています。これは参加者の方々がそれぞれ立ち上げているんですが、本当にいろんな課がありまして、50近くの課が立ち上がって活動しています。例えば財政の仕事や税の仕事など、まさに仕事に直結するようなノウハウの共有や情報交換をする課だったり、ライティングや、会議の内容をイラストを使ってまとめるグラレコなど、共通スキルを勉強するような課だったり、また、直接仕事には繋がらないかもしれませんが、趣味などの繋がりから仕事の繋がりになることもあるので、音楽サークルや子育てサロンといった、趣味・サークル型と言われる課もあります。

    オンライン市役所では、毎日ライブ配信もやっています。オンライン市役所に参加している人なら誰でも聞くことができるFacebookのライブ配信です。Facebookライブはアーカイブが残るので、リアルタイムで参加できない方も、通勤中などに見ていただいています。
    雑誌にも、オンライン市役所のことを掲載していただいています。例えば自治体内でよく回覧で読まれている月刊ガバナンスや、保健師さんの専門誌である地域保健という雑誌などで、オンライン市役所について取り上げていただいています。また最近は、新型コロナウイルスのワクチン対策に関する情報交換会を毎週開催しています。
  • 下山:先ほど画面で紹介いただいた参加者のマッピングは面白いですね。全国からオンライン市役所に参加していることがわかります。特に離島など、なかなか直接会うことが大変な方にとっては、すごくいいですね。
    最後は、塩尻市の山田さん、よろしくお願いいたします。

  • 山田:長野県塩尻市役所の山田崇です。シティプロモーションと地方創生を担当しています。市役所に入って23年目です。私がオンラインコミュニティを始めたきっかけをお話しますね。「日本一おかしな公務員」という本にも書いてあります。多くの自治体で空き家の増加が問題になっていますが、国から言われたから、隣の自治体がやっているからといって、空き家対策が上手くいくとは思えなかったんですね。私はレタス農家の息子で、商店街に住んだことがなくて、公務員しかしたことがない。2010年頃から、地方でも人口減少が顕在化され、人が100歳まで生きる時代になり誰もが初めて経験することも増えてきました。公務員だけで空き家問題を解決ができるのかと思い、まず個人的に空き家を借りてみました。それが2012年で、この空き家プロジェクトnanodaは、今でも続けています。


    2016年には官民連携の施策の一つとして、民間企業と一緒に、目の前で起きている正解がないかもしれない初めての事象に対して取り組む「MICHIKARA」をやっています。「MICHIKARA」には、三つの力(市民、行政、民間企業)と、「未知から」のふたつの意味があります。わからないことからでも新たな地域未来を作るという取り組みです。また塩尻市に住むシビック・イノーベーターたちをコミュニティ化していく、シビック・イノベーション拠点スナバを2018年の8月から行政が運営しています。

    今日は、塩尻CxO Labというオンラインサロンと、自治体を超えて官民、研究者、大学生などを交えた「市役所をハックする!」という取り組みをご紹介します。ここからはどなたでもご覧いただける、ウェブサイトを中心にご紹介していきたいと思います。

    リバネスという私が大好きなベンチャー企業があるんですが、webサイトに「Deploy or Die」「Publish or Perish」「Demo or Die」などの格言が載っていて、ちょっとやってみるということが本当に求められてるんだなと改めて感じています。自分はどうしてコミュニティを作ろうとしたのかなと考えたとき、小さな正解やファクトを積み上げていくことを、官民を超えて、自治体を超えてやっていきたいんだなと思いました。

    MICHIKARAでは、短期間で、リモートで地域課題解決をするという取り組みを6年間やっています。これはオンラインのコミュニティではないのですが、当初、リクルート、ソフトバンクと一緒にスタートし、現在の6期目は、新たにNTTデータ、アルファドライブ、武田薬品工業、ユーザーベース、JTが参加しています。地域課題のテーマとしては、コロナ禍で中小企業の経営革新をこれからどうしていくのかとか、直近では国民健康保険の将来医療費の問題をテーマに実施しました。国民健康保険では毎年医療費が増えて、地域ではお年寄りの数も増えていきます。塩尻市でも、今後20年間で、現在の6万7000人から約7000人人口が減るのに、医療費は約4億円増える見込みです。このような未知のテーマに対して、官民を超えて取り組むということをやっています。2016年から2019年までは、官民協働フォーラムとして、一番多いときで民間の方が130人、公務員が108人、東京に集まるコミュニティをやっていました。様々なコミュニティを運営している人たちと一緒になって、このMICHIKARAという取り組みを行っています。

    塩尻市では、「塩尻CxO Lab」という塩尻市のオンラインコミュニティや、国交省の資料にも取り上げられた、「オンライン関係人口未来プロジェクト」をやっています。これは鳥取市、塩尻市を中心に、コロナ禍になった去年の4月に始めたもので、毎週木曜日と土曜日の朝7時から、今や55週連続で、オンラインサロンを運営しています。そこでは、実際に塩尻市で行われている取り組みを、鳥取県の19市町村に展開したりしています。

    今日、特に私が言いたいのは、「市役所をハックする!」という取り組みについてと、被災した公務員の家族を公務員同士が支えるという一般社団法人アスミーを、公務員だけで立ち上げていることについて、皆さんと情報共有しながら、コミュニティの可能性などをディスカッションしたいと思っています。
  • 下山:山田さんありがとうございました。皆さんそうなんですけども、特に官民協働に本気で取り組まれている印象がありますね。

<コミュニティをどうやって作ってきたか>

  • 下山:すでにご紹介いただいた部分もありますが、そもそも今運営されているコミュニティをどうやって作ってきたのか、最初はひとりで立ち上げたのか、何人かで集まって立ち上げたのか、何を目指してきたのか、そういったあたりをお伺いしたいと思います。
    深谷市の齋藤さんは、ご自身の体験としてチャットツールがすごく役に立ったということがあり、それがきっかけとなって始められたと思いますが、いかがでしょうか。

  • 齋藤:まずLoGoチャットの説明をさせていただきますね。LoGoチャットのLoGoはLocal Governmentの略です。自治体専用のビジネスチャットで、LGWANの環境でも、インターネットの環境でも使えます。役所の中だけではなくて、複数の自治体間や外部の事業者の方ともスムーズなやりとりができるので、民間の方がチャットを使うのと同じような感覚で利用できます。今はトライアルとして無料で使えるのですが、2020年8月時点で480自治体、現在は550くらいの自治体が利用していて、日本全国に広がってる印象を受けます。深谷市がこのLoGoチャットを使い始めたのが、サービスが開始してすぐの2019年9月頃で、一番初めだったので他に使っているところがないという状況でした。それから1年ちょっと経って、これだけの団体が使うようになったのは本当にすごいなと思っています。


    どうやってコミュニティが生まれたのかということですが、2019年の夏ごろは、チャットを使っている自治体はそんなに多くはなかったんですね。だいたい庁舎を新しくするタイミングでチャットを入れるという団体がいくつかある程度でした。
    深谷市でも庁舎を建て替えるので、何か新しいコミュニケーションツールを導入したいと考えていたところに、このLoGoチャットがトライアルで利用できることになり、無料ならやってみようということで、いきなり全庁で利用することになりました。私も参加している、Facebookのデジタルに関心がある公務員がたくさん集まるグループがありまして、LoGoチャットを使い始めてすぐの2019年9月17日に、LGWANで使えるLoGoチャットのテスト稼働を始めましたと書いてみました。すると、そのグループにいた多くの自治体職員の方が反応して、コメントが32個もつきました。普段、私の投稿には、それほどコメントはつかないのですが、その時はいろんな方から、「なんかすごそう!」とか、「うちもすぐ入れたい」といった反応があり、すぐに始めた自治体の方もいました。ビジネスチャットってすごい可能性があると思うのですが、自治体で予算化して導入することはなかなかできないんですね。だから、このトライアルはいいチャンスだと思ってくれた人が、このグループにすごくたくさんいたのだと思います。

    コミュニティができるまでの経緯ですが、最初は、私が個人的にリアルに交流のある自治体の方々と、FacebookやLINEで、あるいは研修などで実際にお会いした際に、「こんなの今使ってます」とか「チャットを使っている団体ありますか」という話をしていました。そうすると、無料だったらうちもやってみたいとか、どういうものか知りたいと聞いてくださる方がいらっしゃって、だんだんと利用する方が増えていきました。
    チャットを利用する団体が増えてきたので、開発元さんに「自治体同士を繋げる組織を作りたいので、場所を貸していただけませんか」とお願いをして、チャットの中に最大100人入れる、みんなが集まれる場所を作っていただきました。パイロットとしてチャットを使っていた6団体と一緒に、「自治体ICTコラボ」というグループを作ったのが2019年の10月ごろです。他の自治体の同じ情報部門の人と話をしながら、最初はチャットの使い方や普及の方法、LoGoチャットの接続が自治体によってスムーズに繋がらないことがあり、何が悪いんだろうといったことを一緒に考えたりして、結構楽しかった覚えがあります。
    この自治体ICTコラボは、もう今はほとんど稼働していませんが、その後、開発元さんが「LoGoチャットユーザーグループ」を作り、現在は運営していただいています。私もLoGoチャットユーザーグループのいろいろな部屋に入って、日々ヘビーユーザーとしていろんなお話をさせていただいています。
    今はLoGoチャットの中でも、コロナの予防接種対応のグループがすごく活発に動いてます。こちらは休みの日も夜も関係なく、情報が入ってくればどんどん会話が繋がっている状態です。コミュニティができるまでの経緯は以上です。
  • 下山:ありがとうございます。かなりのユーザー数になっているんですね。

  • 齋藤:そうなんです。ユーザーグループも、現在4,700人ぐらいいるみたいで、夏頃はまだ2000人くらいでしたから、やはりいろいろ課題が出てくると、参加人数が増えていきますね。

  • 下山:ワクチンの話題もそうですが、限られた情報をいかに共有するかが大切ですね。このように一つのツールから発展していくという面白いパターンだなと思いました。ありがとうございます。続いて髙倉さんから、お話しいただけますでしょうか。

  • 髙倉:まずマイナンバーのグループですが、ちょうどマイナンバーが話題になり始めたころ、当時、私も広域連合にいてマイナンバーに対応しなきゃと考えていたのですが、とある町長さんがマイナンバーについてよくわからなくて心配だと、私の友人である行政職員に話され、そこから情報交換できる場が必要じゃないかとなってコミュニティを作りました。

    ICTグループを作ったのは2011年3月3日だったと思いますが、とある市の幹部の方が、Facebookにグループ機能があるよと教えてくれて、実際にICT関係で知り合った友達たちをグループにまとめていったんですね。そのときは確か10人ぐらいで、互いには全然繋がりがない人たちだったのですが、結構反響が大きくて、もっとやれと言われて本腰を入れて取り組むようになったのがきっかけです。


    私自身がコミュニティ活動に傾倒していった要因は、平成15年から10年間、八幡浜市の総務課電算係で汎用機の保守運用開発をやっていまして、自分で業務システムのプログラムを書いたり、メンテしたりしなきゃいけないような状況でした。八幡浜市は電算職員5名という体制で、ある担当は市県民税を持っていて、別の担当は固定資産税を持っていて、1人が1担当制だったんですね。そんな状況で、税制改正や法改正に対応したり、原課からの改修要望を汲み取ったりしていました。
    どうしても原課の人とのコミュニケーションで苦労していて、制度のことで相談できる人が欲しいと思っていたのですが、八幡浜市のような人口3万人の自治体だと、だいたいシステム担当でなくても担当職員が1人だけという場合も多く、なかなか相談できる人がいなかったんですね。そんな中、平成18年に医療制度改革という小泉総理のときの大きな改正の中で、国民健康保険の法改正があって、システムの負担区分判定に手を焼いていたんですね。そのとき、SNSのmixiに「国民健康保険に携わる人々」や「汎用機」というコミュニティがあり、その関係で自治体職員さんやベンダーのSEさんとマイミク(mixiでの友達)になり、コミュニケーションや情報収集をするようになりました。

    その時の医療制度改正の重要なポイントのひとつに、後期高齢者医療制度が始まるというのがあったのですが、これが制度をゼロから作るというもので、運用もゼロから考えなきゃいけない。広域連合も作り、県内の市町村の取りまとめもしなきゃいけない。利害が衝突したり、運用やシステムの調整をしたり、それを平成20年4月の施行までにしなきゃいけなかったんです。みんな当然困って、インターネットで検索したんです。そうしたらある自治体職員さんが、後期高齢者医療制度SNSというのをFC 2ブログの機能で作ってくれて、これは(株)ぎょうせいのガバナンスでも取り上げられたんですが、そこに400人以上入ることになりました。その中では、例えば「資格」というコミュニティでは保険証や住所地特例の話をしたり、「総務」というコミュニティでは予算作成後の監査とか条例の話をしたり、「電算」というコミュニティでは、各システムや外字、回線、調達の話をしたりしていました。このSNSメンバーでオフ会なんかも自然と始まりました。もともと広域連合もブロック会議とかやっていたんですが、そのブロック会議のオンライン版みたいな感じでSNSに自然と集まっていって、オフ会ではSNSでも話せないようなことが話せて、そこでも密な情報交換ができるようになりました。のちに私もICTグループでオフ会をやったんでが、最近はできない状況ですね。
  • 下山:ありがとうございます。自治体職員の方々の切実な課題から、必要性があって生まれてきたコミュニティなんですね。1人で悩んでいる職員の方って結構いらっしゃると思うので、そういうときに横の連携があると心強いですよね。他の自治体でどのように運用しているか聞くこともできますし、専門家もいてアドバイスをもらえるというのはすごく貴重だと思います。

    岩葉さんは、先ほど自己紹介でも少しご説明いただきましたが、改めてコミュニティに関わるきっかけなどについて、お話いただけますでしょうか。

  • 岩葉:私は、2020年8月に開催されたよんなな会の運営をさせていただいたのがきっかけで、オンライン市役所の運営にも関わるようになりました。オンライン市役所では、毎日「庁内放送」というFacebook上のライブ配信をしているのですが、最初はそのパーソナリティをさせていただいて、そこからオンライン市役所全体の運営にも関わるようになりました。

  • 下山:オンライン市役所については、自治体職員でない私でもチラシを目にしたことがあります。本当にすごい広がりだなと思います。広報活動として、何か雑誌に出たり、SNSで拡散したりという形で広がっていったんでしょうか。

  • 岩葉:雑誌やSNSでの広がりは大きいですね。それですごくいろんな方に知っていただけるようになりました。

  • 下山:山田さんにもお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。

  • 山田:私もいくつかコミュニティに入っているのですが、コミュニティって、手段として作るときもあるし、良い問いや願いに人が集まってくるという自然なものもあると思うんですね。

    私は、正しい情報を多くの人に伝えたい場合と、何が正しいかわからない場合で、コミュニティを分けて考えるようにしているんですね。コミュニティの定義というと堅いですが、どういう集まり方や集め方をしようとしたのか、自然に集まってしまったのかということでも、だいぶ変わってくると思います。私が最近よく使う言葉に、「よい問いは、コミュニティをつくる。よい問いは、仲間をつくる」というのがあって、結果こういうことなのかなと感じています。


    私自身、首にならない公務員が本当にやるべきことは何なのかということをずっと考え続けてきました。民間企業、大学生、市民、NPO、ベンチャー、それぞれできることがあるんですが、人口6.7万人しかいない地方自治体の職員が、民間でも出来なくて、市民でも出来なくて、首にならないからできる事って何なのかなということを考えていたら、そこに集まってきてくれる方がいたというのが成り立ちのひとつですね。

    コクリ!プロジェクトというのがあるんですが、コ・クリエーションとコラボレーションとは違っていて、その両方が大切なんだよねっていうことを言っています。私が個人的に作りたいのは、コ・クリエーションのコミュニティなんですね。コラボレーションというのは、もう行き先がわかっていて、1回行ったことがあるようなものを、得意な人同士が間違わずにやるということなんですが、コ・クリエーションは、なんとなくこういう世の中になったらいいと思うんだけど、そのやり方が誰もわからないときに、それぞれ自分の立っている場所からの声、対話が必要だったり、ホールネス(全体性)で情報のオープン性や、セルフマネジメントが必要だったりするんですね。また、エボリューショナリーパーパスという、ちょっと進めてから目的を変えたっていいという考えもあります。なぜなら、世の中や現状はどんどん変わるし、自分たちが動くことによって、見られる景色やわかることもあるので、私自身はコ・クリエーションのコミュニティ作りを意識しています。
  • 下山:この二つの違いは面白いですね。コラボレーションというと、何か目的があって、組む相手も決まってくる場合もあると思うのですが、完全に新しい物とか、もう少し大きな目標に向かって、何かこう、一緒に合意をしながら作っていくんだ、本当にこの人となら何か新しいことはできるんじゃないか、そういうイメージがコ・クリエーションにはありますね。

<地域や組織を越えて繋がるために、どんな工夫をしてきたか>

  • 下山:チャットで、「変人以外を巻き込むにはどうすればいいですか」というなかなか面白い質問をいただきました。幅広くいろんな人を巻き込むにはどうしたらいいか、いろんな考えを持つ人が来たときにどうやって運営していくか、あるいはルールベースで、もう少しちゃんと合意形成が取れるような方だけでコミュニティを作っていくという考え方もあると思います。地域や組織を越えて繋がっていくために、どんな工夫をされてきたか、お話いただいてもよろしいでしょうか。

  • 山田:戦略的に計画通りやってパフォーマンスが出せるものが、従来型の行政や大企業だと思うんですが、今はVUCA(※1)の時代なので、適応していく形のパフォーマンスも求められていると感じています。これを組織のコミュニティに例えたとき、二つの作り方は違うんだなということを強く意識しています。それから、私はコミュニティにあまり多くの人を集めないようにしてるんですね。なぜかというと、重いテーブルを8人以上で持つと、1人スカスカな人ができるんですね。参加する1人1人が、自分がやっていることに対する実感があることが大切で、人を集めることが目的になってしまうのは怖いと思っています。


    また、ダンバー数(※2)というのがあるんですが、私は最初の5人をどうやって集めるか、この5人からどうやって15人にしていくかということを考えます。最大でも150人くらいが上限で、イシューだったり、テーマだったり、問いというものを大切にして、丁寧にコアな部分を作っていくことを意識していますね。

    ※1:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字。
    ※2:互いを認知しあい、安定した集団を形成できる人数の上限。
  • 下山:最初からたくさん集めるのではなくて、厳選して集めていくようなイメージでしょうか。

  • 山田:一人一人、口説いていくイメージですね。あとは、決め方の決め方ですね。最初の3人を決めるときに、どうしてこの3人にするのかという決め方を決める、ということを意識していますね。

  • 下山:他の皆さんはいかがでしょうか。コミュニティの広げ方には、ルールをしっかり固めてから広げていく方法もあれば、集まった人たちで徐々にルールを作っていく方法など、いろんな考え方があると思うんですが。

  • 齋藤:私は結構多趣味で、いろんなところに顔出したり、オンライン市役所でもICT推進課の課長なんかもやっていたりするので、出会った人といろんな話をして、コミュニティにもお誘いしています。ただそこで深追いはあまりしなくて、来るものは拒まず去るものは追わずみたいな、やりたければやっていただければいいし、別に興味なければ、それはそこまでの話なので、あまり強制したりしないようにしていますね。

  • 下山:割と自由度が高いような感じですね。髙倉さんはいかがでしょうか。

  • 髙倉:県内でも一番人口が減少している市にいて、その上、仕事は増えていくし、複雑化していくし、もともとあった県の説明会やブロック会議がどんどんなくなっていくのを肌身で感じていまして、他の人たちが危機感を持つ前にやらなきゃいけないと思い、いろいろな機会で人集めをしようとしていました。SNSが流行る前から、メーリングリストでの情報交換って結構あったんですよね。私が入っているのは、「地域に飛び出す公務員ネットワーク」「自治体職員有志の会」「東北まちづくりオフサイトミーティング」「もやい九州」などです。私は入っていないんですが、業務に特化したメーリングリストもあったようです。先ほど、どなたかが、職場のメールアドレスを使ったSNSはないかとチャットに書いていましたが、2011年から2016年ごろまでeLsessionというのがありました。地方公共団体職員専用のSNSで、NTTデータが事務局でした。私も終盤あたりに覗いてみたんですが、交流ではなく日記を書くだけのサイトになっていて、みなさんあまり積極的ではなかったんですね。コメントをつけにいくとか、あんまりそういう感じではなかったので、自発的に促してあげないと、衰退していくんだなっていうのは感じました。


    既にSNSとかネット使って繋がりを持ってるような人たちは、紹介をすれば興味ある方はすぐ入ってきました。今もこのICTグループに参加リクエストをいただいております。問題は、そういうのに抵抗がある人たちですね、そもそもオンラインというのを信用しない人が結構多くて、そういう人たちには実際に会いに行って信頼を得ていました。この人いいな、繋がりたいなと思ったら、その人が喋るところにスカウトに行きました。それで飛行機代や宿泊費で痛い目を見ましたけど。あとは、総務省の自治体CIO研修に講師として呼んでいただいたので、そこでもPRをしました。そうやってメンバーが増えていって、それなりに面白い投稿が増えていくと、口コミでも広がって、試してみようかという人が集まってきます。
    後はメディアを使った宣伝もやってました。メディアの方もネタを探していたので、いろんなところで紹介してもらいました。

    ちなみに私の職場でも、繋がりはすごく大事で、結構いろんな業界団体に仕事で参加してるんですが、仕事上必要だということで業界の共通ルールを作ったり、政府に世論を訴えかけたり、いろんな目的で様々な業界団体が作られています。
  • 下山:自腹で旅費を負担してスカウトに行っくてすごい熱量ですね。コロナ禍になって思うんですが、元から知り合っていた方とはオンラインでもスムーズにコミュニケーションが取れるんですが、オンラインからスタートした人間関係って、ざっくばらんに話せるようになるまで少し時間がかかったり、なかなか打ち解けられなかったりすることがあります。だから直接スカウトに行くというのは大切ですね。また、声になるような方を直接自分で選んでくるということも大事なんだなとわかりました。

    岩葉さんはいかがでしょうか。コミュニティを作って広げていく際、制限をしたり何かルールを作ったり、あとは何をコアにしているか。

  • 岩葉:今、オンライン市役所に約2,300名以上の方がいるんですが(座談会当日の3/1時点)、現役の公務員限定というルールで参加していただいています。現役の公務員限定にすることで、業務内容に関することも安心して情報交換していただけるようにしています。

  • 下山:現役の公務員限定というのは、どこかで判断をするポイントはあるんでしょうか。

  • 岩葉:そうですね、オンライン市役所は主にFacebookグループで活動しているんですが、参加する前に登録フォームに記入していただいています。現役の公務員かを事務局でチェックした上で、グループに入っていただくというプロセスになっています。

  • 下山:ということは、これまでに2,300人もチェックしたということでしょうか。

  • 岩葉:そうですね。

  • 下山:髙倉さんのICTのグループでも同じようにされてましたよね。フォームで申請をして、それでチェックをして承認されるという方法でしょうか。

  • 髙倉:そうですね。それと、一応皆さんから「いいね」がついてOKみたいな感じです。

  • 下山:そういえば、私も髙倉さんのICTのグループに入れていただいてるんですね。政府の職を持っているということで。しっかり運営されているなと感じました。それが、コミュニティの中で皆さんが安心して発言したり、繋がったりできる場を作るということなんですね。

<質問への回答・意見交換>

  • 下山:Sli.doにもコメントや質問いただいているので、そちらをご紹介していきたいと思います。まず匿名の方から、「FacebookやmixiなどのSNSコミュニティだと、個人のプライベートアカウントを使わなければならないので参加に躊躇します。所属のメールアドレスなどで参加できるプラットフォームがあるといいなと思います」。これは、齋藤さんのLoGoチャットが解決策になるのではないかと思うのですが、参加されている方の反応はいかがでしょうか。

  • 齋藤:そうですね。LoGoチャットはビジネスチャットとして組織で導入するものなので、仕事で使うものいうイメージが強いですね。しかも自治体専用で自治体職員しかいないので、プライベートとの区別といった参加のハードルは、最初からクリアされていると思います。今までこういうものがあまりなくて、初めてこういうサービスができたので、使う自治体が増えているような状態だと思います。公式で使うということであれば、組織でこれを入れていただければ、同じコミュニティで話ができます。


    それから、同じ会社が運営している、ふるさと納税の「ふるさとチョイス」を使っている団体であれば、LoGoチャットも20アカウントまで使えるので、おまけでついてくるみたいなイメージなんですけれども、そういう意味でもまずはお試しで使ってみることも可能です。利用できる団体であれば、ぜひユーザーグループに参加していただければと思います。
  • 下山:ありがとうございます。DSS(Digital Service Square)も、職場のメールアドレスで参加できるのでぜひご利用いただきたいと思います。

    もう一つの質問で、「圧倒的熱量でコミュニティを立ち上げるリーダーが、いつまで代表をやり続けるのか、代替わりしていくのか、コミュニティの宿命があるかと思います。リーダーの代替わりについてどう考えていますか」ということで、これはぜひ皆さんにお伺いしてみたいと思いますが、いかがでしょうか。

  • 山田:続けなきゃいけないという前提があったりとか、やっぱり有事のときと平時のときで求められるリーダー像が違ったりとか、あとは当初の目的によってはコミュニティ自体が無くなるのがゴールだというものもあると思うんですよ。例えば子供食堂なんかは、最終的には必要なくなる方がいいですよね。コーディネーターなどの中間に入るものがなくなるというのも、時代の流れやテクノロジーの変化でありうるので、当初の目的や集まる意味とか問いが解消されて、自然になくなっていくってこともあると思っています。リーダーが置かれている環境が変わることでもあると思うので、私自身はあまり続けるということにそれほど固執がなく、それこそエボリューショナリーパーパス、進化する目的って言うように、その目的に従って適切な役割としてリーダーが代わっていくんだろうと思っています。

  • 下山:ものによっては不要になってほしい、消滅するのが正しい姿であって、続けることが目的にならないようにしないといけないということですね。

  • 髙倉:先ほど紹介したメーリングリストのコミュニティですが、この中でも代表が代わっているのもありますし、代表が代わらずにずっと活動しているのもあるし、割と動きがおとなしめになってるところもあるし、いろいろですね。ちなみに先ほど紹介した後期高齢者医療のSNSも、今は動きがなくなっていて、今回の座談会の資料のために久々に見に行ったら、たまにログインしてる人はいるんですけど、書き込みとかは全然されないし、10年前の記録というような状態で、インターネットの墓標みたいな状態で、動かないことがまたいいことだなと思いました。


    先ほどいただいた、「所管省庁の公式見解と異なる情報が出回ってしまうなどの問題はなかったでしょうか」という質問に答えたいと思います。自治体職員で集まると、結構大きい自治体から来てる方もいて、省庁への独自のネットワークがあったりして、そこから情報を入手して皆さんに展開してもらうということもありました。「今のところ省庁はこういうことを考えているようだ」とか、「それに対してこういう意見を出そう」とか、「運用するためにはちゃんとこうした方がいい」というように、省庁に訴えかけるための場にしていました。
  • 下山:確かになかなか数が集まらないとちゃんと取り合ってくれない場合もあると思うので、そういった声を上げていくためにコミュニティを作るというのは非常に大事だと思います。

    リーダーの代替わりなどで続けていくのか、それともシフトしていくのか、クローズしていくのかというあたりはいかがでしょうか。

  • 齋藤:オンライン市役所のICT推進課は、110人ぐらい参加しているグループなんですが、課長さんが少し忙しくなっちゃって、課の動きが止まっていた時期があったんですね。その時、私がたまたまそこに参加していて、代わりに課長になってくれませんかという話をいただきまして、1ヶ月くらいかけて再始動しました。最近は月1回ぐらいオンラインで定例会を開催して、参加する方は20人いるかいないかだったんですが、なんとか再生できました。こういう引き継いだ側の経験はありますね。

  • 下山:ちゃんと引き継がれるのはいいですね。業務が忙しくて運営に参加できなくなってしまった場合、そのまましぼんでしまうのではなく、他の方がちゃんと引き継いでくれるといいですね。

  • 齋藤:オンライン市役所の運営の方たちが今後どうしようかと考えていて、たまたま私に、やってくれない?と声をかけられ、いいですよと引き受けた感じでした。

  • 下山:岩葉さんから齋藤さんに、声をかけたのでしょうか。

  • 岩葉:それは私ではなかったんですが、オンライン市役所の課の活動は、各課で自主的に、ZoomやFacebook、メッセンジャーグループなど、さまざまな形態で行われています。運営は必要に応じてサポートする形で、「みんなが運営」という気持ちを持っていただくことを大切にしています。。。

  • 下山:ありがとうございます。

<今後の展望>

  • 下山:あっという間に時間になってしまいました。最後に皆さんから、一言ずついただきたいと思います。特にそれぞれのコミュニティで、今後こんなことをしてみたいとか、こんなふうに発展させていきたいとか、将来に向けての展望をお話いただけますでしょうか。

  • 齋藤:LoGoチャットは、基本的にビジネスチャットなので、各団体が使うかどうかは、各団体の意思決定次第です。それに関しては、私個人ができることはないんですが、LoGoチャットを使うと決めた団体の職員の方たちが、ユーザーグループの中で、それぞれのテーマで話をしていく際に、自分が持っている得意な部分を一緒に話したり、アドバイスしたりするような形でやっていけたらいいなと思ってます。自分の団体でも、ユーザーグループに参加してない人がいっぱいいるので、PRをして増やしていきたいと思ってます。

  • 髙倉:ICTグループを作ったのは、後期高齢者医療制度での経験が影響してるのですが、制度を作って運営していくのは、自治体職員だけではなかなかできないことで、政府や民間の人が一緒に協力し合って、初めて住民にとって良い制度を運用していくことが出来ると思っています。そのためには相互理解も必要だと思っているし、お互い尊重しあいながら、いろいろ意見を言い合える環境をどんどん作っていけたらいいなと思っています。

  • 岩葉:オンライン市役所は、今約2,300名以上の方に参加していただいていますが(座談会当日の3/1時点)、数にとらわれるのではなく、現役公務員限定というルールの下、顔の見える関係を大事にしながら続けていきたいと思っています。

  • 山田:私、「塩尻CxO Lab」も「市役所をハックする!」も6ヶ月限定でやっているんですよね。辞める日を決めるというのをルールの1つにしています。仮説検証と対話と内省を繰り返していくことが、すごく大事だと思っているので、当初6ヶ月前に考えたことが6ヶ月後にどうなったのかをしっかりと考えて、期限を決めて、社会実装ができるのか、我々が集まった理由を実現できたかを考え、できなかったとしたらそれが事実で、じゃあどうするかを考え、また次の一歩を踏み出していくということが行政でも求められていると思うので、それを続けていきたいですね。


    今の若者たちは、私よりももっと長くこの不確実な時代を駆け抜けていかなければならないので、個人的には45歳のおじさんとしてかっこいい背中を見せたいなということと、若い人たちが挑戦できる機会もどんどん作っていきたいなと思っています。興味ある方はぜひ仲間になってください。そしてこれからも応援よろしくお願いします。
  • 下山:皆さんありがとうございました。それぞれの皆様のコミュニティ、これからの活動が本当に楽しみです。最後に皆さんに拍手を送りたいと思います。本当にありがとうございました。

以上